子どもの脳力を開発する為に、子どもではなく、お父さん、お母さんが脳力開発の「知識」を持っていただくことで、子どもはぐんぐん賢く成長するのです。
毎週水曜日はそんな「子どもの脳力アップの秘訣」や、トドラーズ世代(※1)のパパ・ママを応援するいろんなお役立ち情報をお送りしたいと思います。
子どもの脳力を高めるイベントなどの情報もご案内させていただきます。どうぞお楽しみに😉♪
第113回目は・・・木育⑬
脳は環境に適応しながら発達していきます①。
今回と次回は、構造利用研究領域 恒次祐子氏が平成26年に発表された「木材の見た目やにおいが与える影響」から一部抜粋してお話ししたいと思います。
人は木の色や香りに「いいな」「ホッとする」という感じを受けるようです。私たちはそのような「木から受ける感じ」を科学的なデータで裏付けることにより、木の良さをもっと発揮できるような使い方ができないかと考えて研究を行っています。
これまでに20代の男性を対象とした実験で、木の見た目やにおいが快適で鎮静的な印象を与え、血圧や脈拍数を低下させるなど、体をリラックスさせることがわかってきています。本研究では測定上の難しさからこれまであまりデータの取られてこなかった女性や赤ちゃんを対象として、木が与える影響を測定することができました。
どうすれば人の「感じ」をデータにできるのでしょうか?私たちは木材を見たり、そのにおいを嗅いだりしたときに、人の体がどのように反応しているのかを測ろうとしています。
人間の体は外界の変化に対して常に変化しながら対応しています。脳は外の変化を察知すると、脳から各器官に繋がっている自律神経(意志とは無関係に体を調整する神経)を使って指示を伝えます。ストレスを感じると、脳から心臓や血管に指示が送られ、心拍数や血圧が上昇します。これは全身に血液を送り、戦いに備えるためだと考えられています。逆にリラックスする時は各器官を休ませるので心臓はゆっくり動き、心拍数や血圧が下がります。
さて、木を見たり、木のにおいを嗅いだりするとどうなるのでしょうか?
木目模様は同じで色の濃淡が異なるシートが正面・左・右の3面に貼ってあるブースを作りました(図1)。
比較用に白いシートを貼ったブースも入っています。これらのブースに20代の女性被験者に1人ずつ入ってもらい、壁を静かに眺めてもらいました。
全部で20名の測定を行ったところ、各ブースを「鎮静的」であると感じた人たちでは、「覚醒的」であると感じた人たちより副交感神経系活動が高く(図2)逆に交換神経系活動は低くなっていました。自律神経のうち、交感神経はストレス時や活動時に動きが高まり、副交感神経はリラックス時や睡眠時に高まります。この結果が示すのは
①同じブースでも人によって反応が異なる。
②「落ち着く」と感じているときには体も落ち着いている。
③自律神経活動の測定により木目への反応を捉えることができそうである。
という3点であるといえます。
図1 色の違う木目模様のシートを貼った「ブース」
高さ約2.1m、幅約0.9mのブースを作成し、女性被験者に中に入って壁面を眺めてもらいました。
図2 各ブースにおける「鎮静群」と「覚醒群」の副交感神経系活動
各ブースの壁面が鎮静的か覚醒的かを答えてもらったところ、鎮静的であると答えたグループは、覚醒的であると答えたグループよりも副交感神経系活動が常に高いという結果でした。副交感神経系活動は、リラックス時や睡眠時に高まる神経活動です。この結果は壁面が鎮静的だと思っているときに、体も鎮静的な方向に動いていたことを示しています。
※大日本印刷株式会社との共同研究
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